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TPOの意味|何の略?使うのは日本だけ?英語での別の言い方を例文解説

「TPOを意識する」「TPOに合わせる」「TPOをわきまえろ」など、TPOという言葉を耳にする機会が増えてきました。

何気なく使っているTPOですが、あらためて考えると、いったい何を指すのでしょうか。また、英語で伝えるとしたら、どう言えばいいのでしょうか。

ここからは、知っているつもりでも説明しにくい、そんなTPOについて解説します。


TPOは実は英語ではない

最初に、TPOとは何を表すのか、見てみましょう。

Time(タイム)=時間
Place(プレイス)=場所
Occasion(オケージョン)=場面、場合

TPOはこれらの頭文字を取った略で、読み方は「ティーピーオー」。時間や場所、場面などその場に応じたものという意味です。

日本語では「TPOをわきまえる」という使い方をしますね。言葉遣い、態度、服装などに関して、場面相応のマナーを心がけるという意味です。ビジネスシーンや冠婚葬祭でも重視される、社会人の常識と言ってもいいでしょう。

英単語の頭文字を取っているので、海外の言葉だと思われるかもしれませんが、実はTPOという言葉は、1960年代に日本で生まれた用語です。

そのため、アメリカやイギリスなど英語圏ではTPOという言葉は存在せず、英語で伝えるときには別の言い方をする必要があります。

元は英単語でも、その実は日本だけで使われる言葉。つまり、和製英語なのです。

では、どのような英語で表せばわかってもらえるのでしょうか。ここからは、具体的に例文を挙げながら、コツを紹介していきます。

海外で通じる意外な日本語。和製英語を紹介!

「TPOをわきまえる」を英語で?

前述した通り、TPOは和製英語なので、TPOをわきまえると言いたいときには別の言い方をする必要があります。

例えば、以下のような表現が「TPOをわきまえる」の言い換え表現に適しています。

TPOの言い換え表現 英訳
行儀よく振る舞う know how to behave
適切に振る舞う behave appropriately
ふさわしい服装をする dress appropriately
マナーが良い have good manners

例文をみていきましょう。

会議室でおやつを食べちゃいけない。行儀よくすべきだ。
Don’t eat snacks in the meeting room. You should know how to behave.

あなたは職場にふさわしい行動をすべきだ。
You should behave appropriately in the office.

その場面に合わせた服装をすべきだ。
You should dress appropriately for the occasion.

for the occasionは「その場に合わせて」という意味です。

外食するときは、作法を守ることが大切だ。
When eating out, it is important to have good manners.

このように、状況に合わせた表現に置き換えるのがコツです。

「TPOをわきまえない」を表す2つの方法

では、「TPOをわきまえない」はどう言えばいいでしょうか。2パターンを試してみましょう。

否定文にする

シンプルに否定文を使う方法です。know how to behave(行儀よく振る舞う)の反対の態度ですから、否定文に変換してdon’t know how to behave(行儀が悪い、作法を知らない)と言ってみましょう。

弟はTPOがわからない人でね、一緒にいるとよく恥ずかしくなるわ。
My brother doesn’t know how to behave, so I’m often embarrassed to be around him.

否定のニュアンスの語句を使う

もう1つは、inappropriate(不適切な)、rude(失礼な)、bad manners(無作法)といった、それ自体が否定のニュアンスを持つ語句を使う方法です。

プレゼン中に部下がスラングを使い、TPOをわきまえない発言をした。
During the presentation, my subordinate used slang that was inappropriate for the scene.

お葬式にTシャツとジーンズで行った?なんてTPOをわきまえない女なの!
You went to the funeral in a T-shirt and jeans? What a rude woman you are!

電車内で大声で会話すると、しばしばTPOをわきまえない行為だと思われる。
Talking loudly on a train is often considered bad manners.

TPOという略語を使わずに、伝わる英語に変えるコツ、少しずつつかめてきたでしょうか。

フレーズの知恵袋を持とう

ここまでは、TPOのコアにある「適切さ」「ふさわしさ」というニュアンスに着目して、英語でどんなふうに表せるかを見てきました。

これらにプラスして、決まり文句もいくつか仕入れておきましょう。いわば、フレーズの知恵袋を作っておくのです。いざというとき、手持ちのフレーズからシーンに合うものを取り出して、さっと言えると便利です。

dress code

dress codeとは、「服装に関する決まり、ドレスコード」を表します。フォーマル、セミフォーマルなど、場の雰囲気を損なわないための指標となっています。いわば、服装のTPOがdress codeだと言えます。

何を着たらいいかしら。二つ星レストランのドレスコードってわからない。
What should I wear? I don’t understand the dress code in a two-star restaurant.

out of place

out of placeは「場違いな」という意味です。

おしゃれなレストランでは、短パンは場違いに見える。
In a fancy restaurant, shorts look out of place.

Don’t forget where you are.

Don’t forget where you are.は「あなたがどこにいるのかを忘れないで」、つまり「場をわきまえなさい」という意味の表現です。場にそぐわない行為を見て「TPOを意識してほしいな」と感じたら、このフレーズの出番です。

会議中にガムをかむなんて。場をわきまえなさいよ。
Chewing gum during a meeting? Don’t forget where you are.

be careful about what you say

be careful about what you sayは「話す内容や言葉遣いに注意する」という意味。aboutを取ったbe careful what you sayでも同じ意味です。

「TPOをわきまえた発言をする」は、「発言に気をつける」と同じこと。フレーズを応用してみましょう。

広報担当にとって取材は重要です。発言には常に気をつけてください。
Interviews are important for a spokesperson. Please always be careful about what you say.

なお、sayをdoに置き換えてbe careful about what you doにすると、「慎重に行動する」という意味になります。aboutを取ってbe careful what you doでも同じです。

「TPOをわきまえた行動」は「慎重な行動」のことですから、こう伝えれば簡単ですね。

クライアントと会うときは、自分の行動に気をつけてね。
When you meet a client, you should be careful about what you do.

「呆れる」の英語表現

まとめ

TPOという略語の意味と言い換え表現について紹介しました。

TPOはあまりにも身近な和製英語のため、英語で表そうとすると最初は難しいかもしれません。そんなときは、「自分が伝えたいTPOって、具体的にどんなことだろう」と考えてみてください。

「TPOをわきまえない服装」のことでしょうか。それとも、「商談向きの言葉遣い」でしょうか。

具体的な場面が思い浮かんだら、それを簡単な英語にしてみましょう。これを繰り返すうちに、表現力がぐんとついてきますよ。