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「自立する」は英語で?自律との違いやスラングも例文解説

何気なく口にするけれど、意味を聞かれたらうまく説明できない。そんな日本語はありませんか。抽象的な概念などは特に、「こういうもの」とはっきり言いにくいですよね。

その例のひとつが、「自立する」という言葉です。思い浮かべるシーンはいろいろあっても、ぴったりした英訳が浮かびにくいものです。

身近なことなのに英語で言うにはハードルが高そう。今回は、そんな「自立」がテーマです。


自立を英語で表すには

最初に、「自立」という言葉をいつもどんなふうに使っているか、考えてみましょう。

自立とは、他者に頼らずに独立してやっていくこと。多様な側面がありますが、たとえば「5つの自立」という分け方では、「生活的自立」「精神的自立」「社会的自立」「経済的自立」「性的自立」のカテゴリーを挙げています。

カテゴリーを意識するまでもなく、ふだんの会話でも「親から自立する」「経済的に自立する」などと言っていますね。いずれも、「自立」の1語ではなく、前後に言葉をプラスして内容を伝えています。

この点に着目して、英語での表現を探っていきましょう。

independentは基本の単語

自立を表す基本中の基本。それは名詞のindependence(自立、独立)と、その形容詞形independent(自立した、独立した)です。発音をカタカナで表すと、インディペンデンス、インディペンデント。いずれも、「ペン」を強く言いましょう。

これらの単語をベースにして、前後に言葉をプラスしていきましょう。

「子供の自立」はthe independence of childrenやchildren’s independenceと表現できます。「女性の自立」はthe independence of womenやwomen’s independenceと表します。また、「自立的な女性」ならan independent womanになりますね。

「自立している」状態は、形容詞形でbe independentと表します。

スーザンは大学時代に経済的に自立する必要があり、奨学金を申請した。
Suzan needed to be financially independent at college, so she applied for a scholarship.

彼らはもう10代ではない。精神的に自立するべき時期だよ。
They are no longer teenagers. It’s time for them to be mentally independent.

ココ・シャネル(Coco Chanel)の名言の英訳にも、こんなものがありますよ。

女性には平等ではなくて、自立が必要。ほとんどの場合、平等は自分を下げること。
A woman needs independence, not equality. In most cases, equality is a step-down.

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自立「させる」を言うコツ

日本語では自立「する」と自立「させる」を使い分けますが、英語ではどう言えばいいでしょうか。

自立「する」は「自立できるようになる」ととらえて、become independentと言えば簡単。「親から自立する」ならbecome independent from one’s parentsと言ってみましょう。

マーサは大学を出て、親から自立した。
Martha graduated from college and became independent from her parents.

誰かを「自立させる」なら、make ~ independentが便利。~の部分には、「誰か」を表す単語が入ります。代名詞ならば、目的格(her、him、themなど)で使いましょう。

スティーブは、学校を出た息子をすぐに自立させた。
Steve made his son independent soon after he left school.

自立を表す応用フレーズ

ほかにも、さまざまな言葉で自立を表すことができます。使いやすいものをいくつか挙げていきますね。

self-で始まる単語

語頭にself-のついた単語は、「自立」の意味を加えられる接頭語としてよく使われます。一覧で確認しましょう。

単語 意味
self-supporting 自活できる、経済的に独立した
self-reliant 主体的な、自力でできる
self-sustaining 自給自足の
self-sustained
self-sufficient
self-governing 自治権を有する

より正しくニュアンスをつかむため、例文も確認しましょう。

弟のテッドは、今では完全に自活しています。
My young brother, Ted, is now fully self-supporting.

私は目標を達成するために、常に主体的であろうと努めています。
I always try to be self-reliant to achieve my goals.

自給自足の社会とは、自ら生産したものに頼って暮らす社会です。
A self-sufficient society is where people live off their own products.

この地域にはかつて、自治的な共同体がいくつかありました。
There used to be several self-governing communities in this area.

会話で使えるフレーズ

より口語的なフレーズも紹介しますね。stand on one’s own two feetは直訳すると「2本の足で立つ」ことから、「自立する」という意味で使われます。なお、twoは省略されることもあります。

私の方針として、常に自立を心掛けています。
It is my policy to stand on my own two feet at all times.

スラングっぽくなりますが、indie(独立した)もカジュアルな会話に取り入れたい単語です。大手の事務所などに属さないグループのことを「インディーズ」と呼びますが、このindieから来ています。

うちの近所にすてきな独立系書店があるんだよ。
There is a nice indie bookshop near my house.

自立する物や自律はどう言う?

ここまで人に関する「自立」を紹介しましたが、支えなくても物が立つ様子もまた「自立する」と表しますよね。

一方で、自立には「自律」という同音異義語があります。これらを区別するポイントは、どこにあるのでしょうか。

物が自立するときは?

支えたり立てかけたりしなくても、それ自体が立つ道具。そんな物については、freestanding(自立する、自立式の)という形容詞を使ってみましょう。

その部屋は、自立式のパネルで4つの小さな空間に分かれています。
The room is divided into four small sections by freestanding panels.

物を主語にして、stand on one’s own(それ自体で立つ)と続けてもいいですよ。

これは側面で自立するまな板です。
This is a cutting board that can stand on its own on one side.

自律は?

他者に頼らず独立するのが「自立」。一方で、自分自身の行動や感情をコントロールすることが「自律」です。

英語ではautonomy(自律)のほかに、「自制」を表すself-controlやself-restraintが代表的な単語です。

11歳は自律心を習得するにはやや早すぎる。
It is a little too early for an 11-year-old to achieve emotional autonomy.

私は自制心を見せるべきでした。それなのに、わっと泣いてしまったんです。
I should have shown self-control. Instead, I burst into tears.

救援隊のリーダーには、自らを厳しく律する力が求められる。
Being a rescue group leader requires strict self-control.

日本語でも英語でも、自立と自律のニュアンスを正しく伝えたいですね。

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まとめ

いかがでしたか。さまざまな自立について、英語で伝えるには工夫が必要だとわかりましたね。単語だけではなく、例文を丸ごと覚えてしまうのがおすすめです。

それを一部変えたりしながら、シーンにぴったりの英文を自分で作ってみましょう。そうすれば、コミュニケーションがもっとスムーズに、もっと楽しくなりますよ。