日本人にとって、お辞儀はごく一般的な挨拶。初対面の人に対してはもちろん、上司や教師のような目上の人、そしてお客様に対しても行われるお辞儀は、礼節を重んじる日本らしい挨拶、文化の一つと言えるでしょう。
ところで、そんな日本を象徴する挨拶であるお辞儀を英語で何というのか、皆さんはご存知でしょうか?
今回はお辞儀を表す英単語とその使い分けについて説明し、また海外の挨拶についても取り上げてみます。
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お辞儀を意味する英単語
お辞儀とは「頭を下げて相手に対して敬意を表する動作」。角度によって、15度で気軽な挨拶、30度で目上の人やお客様に対する挨拶、のように意味が異なります。お辞儀を意味する代表的な英単語をみていきましょう。
bow
最初に取り上げるのはbow。
bowは「帽子を脱いで会釈する」「腰をかがめてお辞儀をする」というニュアンスがあります。お辞儀を意味する英単語の中では、最も日本人のイメージするお辞儀に近いワードです。弓を意味するbowと綴りは同じですが、発音が違うので会話で使用する場合は要注意。
そして、お辞儀は角度によって以下のように意味が異なります。
会釈(15度):slight bow
敬礼(30度):bow
最敬礼(45度~90度):profound bow
多くの日本人は互いに挨拶する時お辞儀をする。
Many Japanese bow when they greet one another.
この文は丸暗記しておけばお辞儀の説明を英語で問題なく行うことができますね。
彼は会釈をして答えた。
He answered with a slight bow.
彼らは自分たちのリーダーに対して最敬礼をした。
They made a profound bow to their leader.
降参しろ。
Bow to me.
いきなり物騒な例文ですが、bowには「屈服する」という意味も含まれているので、この様な使い方もあります。ディズニーの映画ムーランではヴィランのシャン・ユーが皇帝に対して剣を突き立てながら高圧的にこの台詞を発していましたよ。
curtsy
続いて取り上げるのはcurtsy。
こちらもお辞儀を意味するワードですが、「カーテシー」という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?これは跪いて首を垂れる、女性のみが行うヨーロッパの伝統的な挨拶を意味し、現在でもイギリス王室の伝統的な挨拶として行われています。
彼女は女王にお辞儀をする。
She makes a curtsy to the queen.
curtsyを使用するときはmake、drop、bob(イギリス限定)のいずれかを使用します。
彼女は女王にお辞儀をした。
She curtsied deeply to the queen.
curtsyは名詞としてだけでなく、この様に動詞としても使用することが可能です。
そのほかのお辞儀を表す表現
表現によって異なったニュアンスを伝えるお辞儀の意。
より深い敬意を表す表現にprofound reverenceやprofound obeisanceというものがあります。
あなたに対して深い敬意を表したいです。
I want to make a profound reverence for you.
彼女は私の父に恭しくお辞儀をした。
She makes a profound obeisance to my father.
海外の人から見たお辞儀の印象
日本独自の文化であるお辞儀は、海外の人からすると、かなり丁寧で相手を敬っている挨拶という印象があるようです。
旅行者の中には、ホテルやデパートなどで店員に深く頭を下げられ、丁寧にお辞儀をされると、まるで自分が貴族になったように感じる人も多いのだとか。総じて評判は高いようです。
その一方で「相手に対して簡単に頭を下げすぎている」と感じる海外の人も一定数おり、中には「電話越しの相手にお辞儀をして挨拶する意味がわからない」、と日本人も「確かに」と思ってしまう鋭い指摘もありました。
その他海外のユニークな挨拶
日本の「お辞儀」の様に、相手に対して敬意を表すその国固有の挨拶は世界中に存在しています。ここではそんな各国の特色ある挨拶の一部をご紹介します。
ニュージーランドのホンギ
ニュージーランドの先住民族、マオリ族の間で行われているホンギ。お互いの額と鼻の頭をすり合わせて行う挨拶で、今でもマオリ系に限らずニュージーランド人の間で行われており、至近距離で行われる挨拶は真剣そのもの。
時々ニュージーランドを訪れた各国の外交官や代表が、ビズと勘違いして相手にキスをしたりすることも。現地ではあるあるネタとして知られているそうですよ。
フィリピンのマノポ
リゾート地としても語学留学先としても人気があるフィリピンには、マノポと呼ばれる独自の挨拶があります。「Mano Po」は「ブレスさせてください」という意味があり、主に帰省時に家族の年長者に対して、敬意を表するために若者が行う挨拶です。
やり方は相手の前で跪き、相手の右手を両手で持って自分の額に押し付けるというもの。
まとめ
お辞儀という日本の特殊な文化、挨拶の意味を完全に英語で表現するのは難しいかもしれませんが、それは日本語や英語に限ったことではありません。
その国の言葉でしか表現できない挨拶や言葉はどのような国、言語にもあり、それを理解するために相手の文化に対して興味を持つことが語学を学ぶコツです。
皆さんも疑問や興味を持ったことについては、積極的に自分から調べてみてくださいね。きっと新しい発見や学びに繋がるはずですよ。