「なまむぎ、なまごめ、なまたまご!」
日本語に早口言葉があるように、英語にも多くの面白い早口言葉(tongue twister)があります。tongue(舌)をtwister(もつれさせるもの)という名のとおり、似た音や同じ音がリズミカルに出てきて、早く言おうとすれば舌がもつれそう。そんな言葉遊びです。
遊び感覚で言っているうちに英語の発音に慣れるという、優れた教材でもあります。
今回は、英語の早口言葉のうち、代表的なものを紹介。さらに、YouTubeやアプリの長所についても説明します。
それではスタート!
Contents
短い早口言葉で英語の発音に慣れる
ここでは、3語から話せる短い早口言葉を集めました。どれだけ知っていますか?
短い早口言葉の定番6選
①エディはそれを編集した。
Eddie edited it.
②彼女は海岸で貝殻を売る。
She sells seashells by the seashore.
③耳の近くに、もっと近い耳、ほぼ気味の悪い耳。
Near an ear, a nearer ear, a nearly eerie ear.
④アサリをきれいなクリームの缶に、どうやって詰め込むの?
How can a clam cram in a clean cream can?
⑤缶詰め業者が缶詰めできるように、缶を詰めることって、あなたにできる?
Can you can a can as a canner can can a can?
⑥私は叫ぶ、あなたは叫ぶ、私たちはみんな、アイスクリームちょうだいと叫ぶ。
I scream, you scream, we all scream for ice cream.
短い早口言葉のメリットは、なんといっても覚えやすいこと。
中学生の時に英語の授業で、みんなで唱えた記憶がある人も多いのではないでしょうか。
しかも、英語特有の音が何度も出てくるため、発音のウォーミングアップに最適です。
「アイスクリーム」で実際に練習してみよう
では、定番中の定番。こちらの早口言葉を題材に、声に出して練習してみましょう。
I scream, you scream, we all scream for ice cream.
文全体をいかに速く言い切るか、ということが早口言葉の醍醐味。しかし、スピードだけに気をとられていると、そのうち飽きてしまいますよね。ということで、スピードは後回し。まず、発音とリズムに目を向けてみましょう。
では、発音から。
次の太字の部分で、「スクリーム」という音が4回も出てきます。ここを特に意識して、ゆっくり言ってみてください。
I scream, you scream, we all scream for ice cream.
次に、リズム。
平坦に読むのではなくて、ツボを押さえることが大切です。下の太字の部分を強めに読んでみましょう。
I scream, you scream, we all scream for ice cream.
「いち、に、さん、し」と拍子を刻むつもりで言うのがコツです。机をコツコツ叩きながらでもいいし、手を軽く叩きながらでもいいですよ。強く読むツボの位置を変えずに、徐々にスピードを上げていきます。
速く読むときも強弱のリズムを変えないことがポイントです。滑らかに言えるようになるまで、何度か繰り返してみてくださいね。
She sells seashellsもツボが大事
続いては、「アイスクリーム」と同じくらい有名なこちらに挑戦です。
She sells seashells by the seashore.
sh [ ʃ ]は、唇を突き出して、息を「シュッ」と出す感じ。
s [ s ]は、舌先を上の歯ぐきの裏側に近づけて、「スー」と息を漏らす感じ。
これらの音が、短い文中に合わせて6個。発音し分けるのは大変です。
こういうときは、無理しないでオーケー。たとえば、sh [ ʃ ]だけを発音のツボと見立てると、注意するところはたったの3点になります。これなら少しラクになりますね。
She sells seashells by the seashore.
3つの発音のツボに、意識を集中してゆっくり発音してみてください。慣れてきたら、徐々にスピードを上げていけばいいのです。
自分なりにテーマを絞って、段階的に練習してみてくださいね。とにかく楽しみながら、何度も声に出すこと。それが近道です。
長い早口言葉で英語のスピードに慣れる
続いては、2行以上にわたる長い早口言葉から、比較的よく知られているものを3種類、選んでみました。長くなるほど難しさが増しますが、基本は短い早口言葉と同じ。強く読む太字のツボが、一定のリズムで出てくる点に要注目です。
難しい早口言葉 おすすめ3選
⑦「デニス・シー・ザ・フリース」
Denise sees the fleece,
Denise sees the fleas.
At least Denise could sneeze
And feed and freeze the fleas.
1行に強く読むツボが3つ。つまり、1行を3拍子で言い切るつもりで読むのがコツです。長い割には、比較的ハードルの低い早口言葉です。
訳
デニスはフリースを見て、デニスはノミを見る。
少なくともデニスはくしゃみをして、ノミにエサをやり、凍らせることができた。
次の「ピーターパイパー」や「ベティ・ボター」になると、強く読む部分が非常にたくさん出てきます。これは、挑戦しがいがありますよ。
⑧「ピーターパイパー」
Peter Piper picked a peck of pickled peppers.
A peck of pickled peppers Peter Piper picked.
If Peter Piper picked a peck of pickled peppers,
Where’s the peck of pickled peppers Peter Piper picked?
訳
ピーター・パイパーは酢漬けとうがらし1ペックをつまんだ。
1ペックの酢漬けとうがらしをピーター・パイパーはつまんだ。
ピーター・パイパーが酢漬けとうがらし1ペックをつまんだなら
ピーター・パイパーがつまんだ1ペックの酢漬けとうがらしは、どこだ?
⑨「ベティ・ボター」
Betty Botter bought some butter, but she said, “This butter is bitter,
If I put it in my batter, it will make my batter bitter.
But a bit of better butter will make my batter better.”
So she bought a bit of butter better than her bitter butter.
And she put it in her batter and her batter was not bitter.
So it was better Betty Botter bought a bit of better butter.
訳
ベティ・ボターはバターを買ったけど言った、「このバターは苦い。
生地に入れたら、生地が苦くなりそうだ。
でも、もっと良いバターを少し入れたら、生地が良くなるだろう」。
そこで、彼女は苦いバターよりも良いバターを、少し買った。
そして生地に入れると、生地は苦くなくなった。
だから、ベティ・ボターが良いバターを少し買ったのはよかった。
「ピーターパイパー」 読み方のコツは?
長いまとまりを一気に言い切ろうとして、息切れしていませんか?そんなときは、細切れに区切って口慣らし。遠回りに思えても、実は大事な練習方法です。
「ピーターパイパー」の1行を半分に切ると、こうなります。
Peter Piper picked /
a peck of pickled peppers.
2行目も同様に、半分に区切るとこうなります。
A peck of pickled peppers /
Peter Piper picked.
いかがですか。「ピー」「パイ」「パー」の連続に思えた英文が、急にシンプルになりました。
小さい単位で滑らかに言えるようになれば、まずは合格です。その後、1行につなげて言ってみます。
Peter Piper picked a peck of pickled peppers.
だいぶ口の筋肉もほぐれて、ラクに、スピーディーに言えるようになっているはずです。これを繰り返して、1行から2行へ、2行から3行へと徐々に範囲を広げて、つなげて言ってみてください。
同じように、「ベティ・ボター」でも細切れ練習を試してみてくださいね。
アプリで本物の音を聞こう
アプリやYouTubeを利用すれば、いつでもどこでも英語の音声が聞けます。「英語で早口言葉」や「tongue twister」というキーワードで検索してみてください。
YouTubeは、子供向けの楽しいアニメーションがあったりして、見ていて飽きません。また、ナレーターの口の動きがわかるのは最大の長所です。
一方で、アプリには、使い勝手の良さという利点があります。さまざまな早口言葉のテキストが表示されたり、練習メニューが充実していたりします。
たとえば、「制限時間内に3回繰り返す」という練習ができる、タイムリミット機能。また、自分の発音が文字化されて現れる、音声認識の機能をもつアプリもあります。
正しく発音できているかどうか、可視化するのに最適です。
レベルや使いやすさをいろいろと試してみて、しっくりくるものを使ってみるといいですね。
まとめ
いかがでしたか?ひとくちに早口言葉といっても、視点を変えるとさまざまな発音練習に生かせるとわかりました。
アナウンサーのように発音するには訓練が必要ですが、そこまで気負わなくてもだいじょうぶ。テストと違って合否は問われません。ぜひ楽しく、日ごろの英語学習に取り入れてみてください。