日本語にはない a や the の冠詞。英語の筆記試験などで意外と引っかかりやすい部分ですよね。なんとなくわかっているけど、実際にいつどこで a を使ったらいいのか、theを使ったらいいのか、使い分けをちゃんと説明できますか?
今回はそんな冠詞 a/ an とthe について徹底的に解説します。
今までなんとなくわかっていた人も、冠詞が得意でない分野の人も、この記事を読めば冠詞マスターになれるでしょう!
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冠詞とは
英語の冠詞とは、名詞の前につく a、an、the などの言葉を指します。
The は、特定の名詞を指す場合に使用され、a/an は、非特定または非特定の名詞を修飾する場合に使用されます。
The を定冠詞、a/an を不定冠詞と呼びます。
The = 定冠詞
a/an = 不定冠詞
例えば、Let’s read the book.(本を読もう) と言えば、特定の本を意味します。
しかし、Let’s read a book. (本を読もう) と言えば、特定の本ではなく、色々な本があるなかの一冊を意味します。
では、それぞれの冠詞をもう少し詳しく見てみましょう。
不定冠詞の a / an
aとanは単数の可算名詞にしか使いません。例文とその説明文を見てみましょう。
娘はクリスマスに犬を欲しがっています。
My daughter really wants a dog for Christmas.
これはどんな犬でもいいので、犬が欲しいことを指します。まだ犬が見つかっていないので、どの犬かはわかりません。
誰か警察官を呼んで!
Somebody call a policeman!
これも特定の警察官ではなく、誰でもいいので警察官を呼んでください、という意味ですね。
動物園に行ったら、象を見たよ!
When I was at the zoo, I saw an elephant!
ここでは、特定のものではない1つの象について話しています。動物園には何頭もの象がいるはずですが、ここでは1頭について話しています。
aとanの使い分け
aやanを使うかどうかは、次の単語を始める音によって決まります。
a + 子音で始まる単数名詞:
a boy, a car, a bike, a zoo a dog
an + 母音で始まる単数名詞:
an elephant, an egg, an apple, an idiot, an orphan
a + 子音で始まる単数名詞:
a user ( yoo-zer のような音、つまり子音 y で始まるので a が使用される), a university, a unicycle
an + 無声の h で始まる名詞:an hour
a + 発音された h で始まる名詞:a horse
historical のように h を発音する場合は、anを使うこともあります。しかし、a の方がよく使われ、好まれます。
歴史的な出来事は記録する価値がある。
A historical event is worth recording.
英語では、不定冠詞はグループの一員であることを示すために使われることも覚えておいてください。
I am a teacher.
私は教師です。
(私は教師というグループの一員です。)
Brian is an Irishman.
ブライアンはアイルランド人です。
(ブライアンはアイルランド人として知られている人々の一員です。)
Seiko is a practicing Buddhist.
セイコは仏教徒です。
(セイコは仏教徒として知られている人々のメンバーです。)
定冠詞の the
定冠詞は、名詞が特定または特殊である場合に、単数または複数の名詞の前に使用されます。
定冠詞は、その名詞が確定的であること、つまりグループの特定のメンバーを指すことを知らせます。
The dog that bit me ran away.
私を噛んだ犬は逃げました。
(ここでは、私を噛んだ犬という特定の犬について話しています。)
I was happy to see the policeman who saved my cat!
私の猫を助けてくれた警察官を見て嬉しかったよ!
(ここでは、特定の警察官について話しています。たとえその警察官の名前が分からなくても、猫を助けたのはその警察官なので、特定の警察官であることに変わりはありません。)
I saw the elephant at the zoo.
動物園で象を見た。
(ここでは、特定の像について話しています。おそらく、動物園には象が一匹しかいないのでしょう。)
不可算名詞に使えるtheとその省略
The は不可算名詞に使用することができ、また冠詞を完全に省略することもできます。
水の上を航行するのが好きだ。
I love to sail over the water.
または
I love to sail over water.
どちらでもOK。
(特定の水域、または不特定のどこの水域でも航行するのが好き。)
牛乳を床にこぼした。
He spilled the milk all over the floor.
または
He spilled milk all over the floor.
(特定の牛乳、おそらくその日のうちに買った牛乳、 または特定でない牛乳をこぼした。)
aとan は、数詞にのみ使用することができます。
水のボトルが必要です。
I need a bottle of water.
新しい牛乳のグラスが必要です。
I need a new glass of milk.
水のペットボトルを意味している時以外は、「She wants a water」と言うことはできません。
世界に一つしかないものを指すthe
世界に1つしかない川、海、湾、砂漠、山脈の固有名詞ものや、誰もが知っているもの(太陽、星、月、地球、惑星)は、theを使用します。
地図などは the の表記を省略することもあります。
The Nile (ナイル川)
The Pacific (太平洋)
The North Pole (北極)
The Sahara (サハラ砂漠)
しかし、富士山 (Mount Fuji) やビクトリア湖 (Lake Victoria) など名前に Mount や Lake が入っているものについては the を使いません。
地球は太陽の周りを回っている。
The earth moves around the sun.
私たちは草の上に寝転んで星を見た。
We lay on the grass and watched the stars.
日常的に使うものと the
私たちは、日常生活の一部として知っている物事に対してtheを使います。
この文脈では、theは特定の物事を指すものではありません。
最近、新聞を買っていません。インターネットで無料で読めるから。(新聞全般)
I don’t buy the newspaper these days. It’s free on the Internet.
彼らはいつも電車に乗る。(電車全般)
They always take the train.
社会の中のグループとthe
社会の中の特定のグループや人について話すときは、the+形容詞を使います。
金持ちはもっと税金を払うべきで、貧乏人は払わなくていいと思う。
I think the rich should pay more tax and that the poor shouldn’t pay any.
若者は社会で奨励され、支援される必要がある。
The young need to be encouraged and supported in society.
Theと日付や季節
具体的な日付を言うときはtheを使いますが、書くときはtheを使いません。
話言葉:I’ll see you on the twenty fourth of May. (5月24日に会いましょう。)
書き言葉:I’ll see you on 24th May. (5月24日に会いましょう。)
月について話すときは the を使いません。
私の誕生日は9月です。
My birthday is in September.
季節全般について話すときは、in か in the のどちらかを使います。
これらの鳥は夏にイギリスに到着し、冬が始まると去っていく。
These birds arrive in Britain in summer, and leave as the winter begins.
夏には、私たちはたいてい山に行きます。
In the summer, we usually go to the mountains.
冬に雪が降ることはほとんどない。
We rarely get snow in the winter.
特定の季節について話すときは、theを使います。
1947年の冬は英国で最も寒い冬の一つであった。
The winter of 1947 was one of the coldest in Britain.
夏には必ずお伺いします。(来年の夏という意味)
We’ll definitely visit you in the summer.
インターネットとラジオにつくtheとテレビにつかない the
インターネット、ラジオ、新聞にはtheがつきますが、テレビにはtheがほとんどつきません。その理由は、テレビの受信機という「もの」を指すときにはテレビにも冠詞を付けますが、テレビ放送という「中身」を指すときには冠詞を付けないからです。
つまり watch TV と言うときには、テレビの受信機ではなくテレビ放送を見ているので無冠詞になります。
◯:I looked it up on the Internet. (インターネットで調べました。)
×:on internet
◯:She was on the radio once. (彼女は一度ラジオに出演したことがある。)
×:on radio
◯:Did you see that story about parrots in the newspaper? (オウムの話を新聞で見ましたか?)
×:in newspaper
◯:There’s usually nothing on TV. (テレビではたいてい何もやっていないよ。)
×:There’s usually nothing on the television.
病院、学校、刑務所などでの the
病院、 学校、 刑務所など、建物そのものについてではなく、建物の中で起こる活動について話すときは、theを使いません。
入院はしたくなかったが、病気で家に帰れない。(患者として病院にいたくないということ)
She didn’t want to be in hospital but she was too ill to go home.
彼女は病院にいたくなかった…(建物の中にいること)
She didn’t want to be in the hospital …
私が学校にいた頃は、コンピューターがなかったんです。(学生として学校にいること)
When I was at school, we didn’t have computers.
学校にいたころは…
When I was at the school … (学校とは、建物の中にいること)
まとめ
今回は a/ an / the などの冠詞について使い方と使い分けを紹介しました。これらの不定冠詞と冠詞は、まずは違いのイメージをつかむことが大切です。
最初は混乱してしまうところもあるかもしれませんが、一つ一つ文章を読みながら冠詞の働きを確かめていきましょう。